Wonderful Heaven Extra : 14


 なーんでこんな逞しく育ったのかねぇ?
 謎だ、謎過ぎる!
 食べる物はほとんど一緒で、違うとしたらその食べる量か?
 で、運動量?
 弟様の腹筋が逞しすぎてお兄ちゃん泣きそうです・・・!

 そもそもの発端はブウサギ陛下の『決戦装束』イベントですよ。
 まさか俺の分もあると思ってなくて、「ルルーにはこれな!」と渡された時は素で嬉しかったのに・・・・!

 まさかの女装キタ。
 しかもウェディングドレスっぽいとかどんだけなの?

 男の俺が来たって気持ち悪いだけに決まってんじゃん。
 くそっ、ブウサギ馬鹿め!!
 でも曲がりなりにも皇帝が用意してくれた衣装だぞ?
 着ないという選択肢がない事が辛い。

「・・・・兄上、とても綺麗です。」

 おおうっ、そんな慰めいらないよルシルフル!
 絶対似合ってないって自分で分かってるから!
 そもそも女装なんぞ怖くて鏡も見れなかったからね!?
 化粧を施してくれたメイドさんたちも似合ってるとか言ってくれたけど、絶対社交辞令だと思うし。
 しかし折角慰めてくれた弟の気持ちを汲んでやらなきゃ、兄の沽券に関わる。

「ありがとう、ルシルフル。でも男の俺がこんな格好したって、気持ち悪いだけだろう?」
「まさか! 誰にも見せたくないくらい、良くお似合いです。」
「それは喜ぶべきなのか・・・・? どうせだったら、俺もルシルフルのような格好をしてみたかったのに。」

 誰にも見せたくないくらい・・・ってどんだけ恐ろしい仕上がりになってるんだか。
 元は美形の『ルーク』の体だから何とかなるかとも思ったけど、世間様に見せられないくらい酷いのかぁ・・・・。
 あ、やべ、地味にへこむわぁ。
 似合ってると言われてもへこむけど、逆にすっごく似合わないと言われてもへこむ俺のやわなハートは粉々です。
 男だったらやっぱりルシルフルみたいなワイルドな格好してみたいよなぁ!
 してみたいってだけで、現代人in病弱『ルーク』じゃなよなよして見栄えも悪い事請け合いだけどね!
 しっかし、ホント惚れ惚れするくらいの腹筋だし。
 ・・・・・一割くらいだけでもいいから、腹筋分けてくれないかなぁ。
 腹筋を恨みがましい目で堪能してた俺に、ナタリアから駄目出しを食らった。

「ルルー! いけません!」
「・・・え?」

 何で!?

「そのような事は帰って二人だけの時におやりなさい!」

 それこそ何でさ。
 目の前に理想の腹筋があれば、ちょっと触りたくなるじゃないか。

「気になるのはわかります! 私だってアッシュのさわ・・・・いえっ、何でもありません!」

 あー・・・・、お兄様のも凄そうだよね。
 ちょっと触ってみたいけど、顔を真っ赤にした恋する女の子なナタリアがいるし、触らないから安心してね!

「ですが! これとそれとは別です! とりあえず、それは後でおやりなさい。」
「でも・・・」

 ルシルフルが後で触らせてくれるのかもわからないんだぞ?
 くすぐったいからって、触らせてくれなかったらどうするだ!

「でもも何もありません!」

 はい、俺ちょっと調子こきましたすみませんナタリア様!!
 あまりの勢いに飛び上がりそうだった俺を支えてくれたルシルフルの手が腰に回ってるから土下座もできないし・・・!
 美人って怒ると怖い。

「ルルー! そんなに筋肉に触れたいんだったら、俺のでどうだ!? むしろ俺の筋肉を見てくれぇええええ!!」

 空気読め、ブウサギ陛下。
 本音を言えばちょっと見てみたいけど、いきなり脱ぐな。
 そしてどこのマッチョの台詞だ。

「止めて下さい、陛下。」

 おぉっ、すげぇアスランさん・・・!!
 極上スマイルで陛下を固まらせた!
 美人って怒ると怖い。もの凄く怖い。

「嫌ですねぇ、ルルー様。そんな鍛えてもいない中年親父の腹筋を見ても悲惨なだけですよ? どうせでしたら軍で鍛えている私のを見せてさしあげますから。」

 さすが幼馴染、考える事は一緒なのか。

「ちょ、待てよ旦那! それを言うんだったら陛下の幼馴染でもある旦那だって中年親父じゃないか!」

 よく言ったぞ、ガイ!

「ルルー様! こんな中年組みより俺の方が若くてピチピチですから!」

 ・・・・・・ブルータス、お前もか!!
 しかも何だ若くてピチピチって。お前は魚か。鮮魚か。
 そしてみんなして筋肉がない俺への当て付けか畜生!

「馬鹿ばっか。」

 アニスさん、まさしくその通りです!
 というか、その名台詞をアニスの口から聞けるとは現代で過ごしてた頃は夢にも思わなかったですよ。
 憑依自体も夢物語ですけどねー。
 でも、まあとりあえず。

「ルシルフルに触らせて貰うから大丈夫です。」

 筋肉鑑賞は身近で済ませたいと思います。
 俺がお願いすれば、ルシルフルもたぶん触らせてくれると思うし・・・・・うん、たぶん。

「そうですわ。ルルー、触れるのでしたらルシルフルだけになさい。」
「そうね、それが王道ですもの。」
「あたしは儲けられればどれでもいいけどぉ〜?」

 女性陣の言葉が不吉すぎる・・・!
 もしかしてもしかしてとは思っていたが、この人たちって腐じょ・・・・・いや俺は何も聞いてない。聞いてないったら聞いてない。
 俺の精神衛生上、何が王道でどれでもいいのかは考えたくない。

 ・・・・・・・・・・にしても。
 決戦前なのに、緩いなこのメンバー。
 ま、ガッチガチに緊張してるよりかマシか。


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