≪シュザンヌの場合≫
「奇跡はあると思いますか?」
「奇跡、ですか・・・・?」
「そう。奇跡」
私の問いに、ルルーは不思議そうに首を傾げていました。
それも当然の事でしょう。
誰だって突然『奇跡はあるか?』なんて聞かれたら、首を傾げるに決まっています。
それでも私は聞いてみたかったのです・・・・。
他でもない、奇跡を具現化したもう一人の我が子に。
「あると思います。」
その言葉に、私は嬉しくなりました。
ルルーも奇跡を信じてくれるのですね?
ですが私の喜びは長く続きませんでした。
「でも、奇跡は二度と起こらない。」
・・・・・・・嗚呼、なんて事!!
一度目の奇跡が貴方の存在だというのなら、二度目の奇跡はルルーがいつか乖離せず生き長らえるという事。
それを貴方自身の口から否定されるなんて・・・・!!
寂しそうにしながらも儚い笑みを浮かべる我が子は、自身の命を誰よりも真正面から受け止めているのでしょう。
「奇跡が何度も起こるようならば、それはもう奇跡じゃない。別の『ナニカ』だと思います。」
レプリカに対する延命措置。
その研究は為されているけれども目ぼしい結果は未だ出てない事実に、きっと大丈夫だなんて楽観視していたのは、私達の方です。
「・・・・・そう、そうね。奇跡は滅多に起こらないこそ、奇跡と言うんだわ。」
悠長に奇跡が起こるのを待つなんて、あまりに遅すぎる。
支援金の増加を検討しましょう。
音素学に精通している者を、更にヘッドハンティングするのもいい。
奇跡が奇跡ではなくなった別の『ナニカ』を、仮に運命というのなら。
私達が欲して止まない運命を手にする為に、奇跡を強制的に発生させる力が必要なのです。
その為の準備を、さあ早く始めなければ。
諦めきったもう一人の我が子に、安心させるように私は笑みを浮かべたのでした。
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