Wonderful Heaven Extra : 02


「奇跡はあると思いますか?」

 随分突拍子もない言葉だ。
 お母様はいつになく静かな雰囲気で、俺にそう聞いてきた。

「奇跡、ですか・・・・?」
「そう。奇跡」

 彼女の雰囲気に飲まれたのか、俺も普段より真面目に考えてみる。
 奇跡ねぇ?

「あると思います。」

 そもそも俺がレプリカルークになってる時点で、ある意味奇跡だよな。(普通ゲームの世界にトリップとかねぇよ!)
 その事実を知るのは俺のみだけど。
 ゲーム本編で言うなら、『ルーク』がアクゼリュスやレムの塔で死ななかったのも奇跡だと思うし、少しでも破滅一直線の預言から逸れたのはローレライが言う『驚嘆に値する』奇跡だとも思う。
 でもさ・・・・・・。

「でも、奇跡は二度と起こらない。」

 だって、俺は怖いよ。
 俺はどうしたって一般人で、相手が犯罪者だとしても人を殺したくない。
 アクゼリュスを破壊する事なんてできないし、レムの塔で自分の命を差し出せるほどの勇気もないんだ。
 自分で言うのもなんだが、俺は臆病で怖がりだ。
 この世界が怖くて怖くて仕方ないから、ゲームみたいにならないように努力するしかないと思ってる。
 ちょっとずつちょっとずつ逸らしていけば、どうにかなるんじゃないかって、そう考える事は甘いのかな?
 陰険鬼畜眼鏡のジェイドには絶対「ゲロ甘ですねv」とか言われるんだろうけどさ?
 何度も言うけど、俺は所詮一般人なの!
 しかもそれなりに平和に過ごしてきた現代人が、いきなり人間殺せるかよ。
 断言するけど、俺には無理だね!

「奇跡が何度も起こるようならば、それはもう奇跡じゃない。別の『ナニカ』だと思います。」

 奇跡っていうのは、ある意味偶然と同じだろ?
 どっかの魔女も言ってたじゃないか。
 この世に偶然なんかないって。
 あるのは、必然だけ。

「・・・・・そう、そうね。奇跡は滅多に起こらないこそ、奇跡と言うんだわ。」

 お母様は何故かしみじみと頷いて目を閉じた。
 そして次に目を開けたその時、俺は思わず一歩後ずさってしまった。
 何故かって?

 だって外見お淑やかな美女に、餓えた獣みたく眼光鋭くニィッて笑われてみろ?
 めっちゃ怖いから!!!
 ひぃいいっ! 俺何かしちゃいましたかお母様!?
 土下座するんでそれ止めてくださいマジ怖いっス!!!!


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